アメリカ社会におけるアジア人:理想的マイノリティ?

アメリカ社会におけるアジア人:理想的マイノリティ?

 

中国人学生に代表されるアジア系アメリカ人は一種の神話的なマイノリティとしての成功者の地位を獲得している。例えば、平均収入の面で、アジア人は黒人、白人を凌駕した数字を叩き出している。また、しばしば数学の分野で能力を買われ、テクノロジーやプログラミング業界の活躍を見せる。

 

こうしたマイノリティの成功例はアフリカ系アメリカ人やヒスパニック、ネイティブアメリカンなどの他のマイノリティにも理想として掲げられることもある。

 

彼らが移民として不利な立場からどのように成功者としての立場を築き、いかにしてそれを守っているのか。遺伝的な要因が絡んでいると解釈する者もいるが、多くの社会学者は文化的勤勉さで説明している。

 

アジア的な拮抗性、家長主義が文化保持力となり、アメリカ社会におかれてもアジア特有の勤勉さを発揮し、その特性が二代目もに家庭内で引き継がれているという考え方だ。

 

勤勉さに関しては、以下の作品を通して理解できると思う。

 

 

中国系アメリカ人の著者によるこの上なく厳格な中国式子育ての成功と失敗が綴られている。

 

一方でこうした成功のための考え方を問題視する人も多い。特に子供の精神の成熟や主体性を重要視する欧米的価値観の中では風当たりが強い。アジア系の子供は親の高すぎる期待のために心理的ストレスが多い傾向があると説く人もいる。

 

また、アジア人の成功は本当に神話だとする見方もある。というのも、アジア人の平均年収が高いとはいえ、その役割は秘書のような補佐的役割にとどまっているといった解釈に基づく。

 

そして、平均所得についても、一時間あたりに換算すればアジア人はむしろ低い可能性があるというのだ。

 

最後に、透明な理想的マイノリティについても言及しなければならない。「透明な」というのは私の表現だが、要するにアジア人に対する「理想的マイノリティ」というステレオタイプのために本質を無視されたり、誤解されるアジア人のことである。アジア人は数学が得意というステレオタイプのために作家になる道を反対されたり、先生から実際の成績より高い期待を寄せられたりといった事例がその例だ。

 

journals.sagepub.com